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2008年10月07日

"文学少女"と神に臨む作家(下)

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発売からもう一月経ったので内容に触れる話も良いでしょう。

地上に墜ちた天使
破れた幻想
夢から醒めた御伽噺


何度か読み返してみましたが,結末としては少々残念だったように思います。
今までは心葉の心情と読み手たる私の感覚が近かったのがこの作品の高評価に繋がっていたのですが,最後に盛大なビーンボールが飛んできました。心葉の最期の選択はそう来ましたか。


上巻が終わった時点で残っていた物語の焦点は

結衣に毒を盛ったのは誰か
遠子が実在しない人物なのはなぜか
櫻井叶子の遠子への態度の理由は
心葉は再び小説を書くようになるのか


『幽霊』や『水妖』辺りまで絡めて,張りきった伏線はことごとく回収し,全ての「状況に」しかるべき回答が与えられました。
最後に心葉が突きつけた「なんでそんなこと気付くの?」という回答も意外で,物語としての完成度は非常に高いものでした。

まあ,最後の1項目は予定調和として作家への道を再度志す,という結末になるとはだれもが予想していたのでしょうが……


ここであらためて回答を出すべき事に,心葉のパートナーは含まれていなかったのですよ!
まさか,ここでななせを振って遠子先輩を選ぶとはっ!!!
ここはななせの一択でしょうに……


上巻でのななせに対する心葉の心理描写が「大切」なのではなく「大切にしたい」と自らに言い聞かせている様なのはあやういな,と思っていたのですが……


たとえ心葉の心が遠子に傾いていたとしても

やはり存在しなかった遠子先輩は儚く切なく心葉の前から身を消し……心の半身を失った心葉はその痛みを糧に,再び作家への道を歩み出す。傍らのななせを支えとして……


とかなんとかで,遠子先輩は最期には必然かつ理不尽に消えるものかと思っていました。その伏線としての心のつながりの『白い結婚』と,選ばれし者は通らざるを得ない『狭き門』ではなかったのでしょうか?


かくして天上の乙女は翼を喪くして人となり,御伽噺は不思議の霧を払い,物事は全て平穏にあるべき所へ落ち着きました。


あまりに大団円に穏やかに落ち着いてしまったので,このシリーズを読み終わるたびに感じていた,何かが欠けているような飢餓感が無い……とでもいうのでしょうか。


ひどい言い方になるかも知れませんが,心葉にはなにか心の傷を抱えて貰っていたほうが読後感は強烈なものになって居たような気がします。
シリーズの締めとして,心葉が心の平穏を得たという意味で言うと問題は無いのですけどね。



ラストが好みとは違いましたが,作品としては面白いのは間違いありません。
誰にでも勧められる(私が薦めるときには人は選びますが)近年では出色の良いお話です。こんなものを読んで居るぐらいなら,本屋に買いに走りましょう。
#ななせ以外では気持ちよいとか心地よいとかの成分は少なめですけど……


posted by 文公主 at 21:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

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